料理好きほど「火力が大事だからガス派」という声を聞くことがありますが、2026年現在、最新のIHは単なる「火を使わないコンロ」ではなく、「究極の精密調理器具」へと進化しています。
「なんとなく便利そう」というイメージを、具体的な「確信」に変える。ガスにはない、IHならではの圧倒的なメリットを紐解いていきましょう。
1. 「温度の数値化」による圧倒的な再現性
ガスの「弱火」「中火」は、レバーの引き具合や周囲の風で変わる曖昧なものです。対してIHは、火力を数字で完璧に管理できます。
- レシピの完全再現: 「5番で3分」という設定さえ決まれば、誰でも・何度でも同じ味を再現できます。
- 揚げ物の失敗がゼロに: 180℃に設定すれば、食材を投入して油の温度が下がっても、IHが瞬時に出力を調整して温度をキープしてくれます。
2. 掃除時間は「30秒」。キッチンが汚れない仕組み
IHの最大の特徴は、天板が「フラットなガラス」であることです。
- サッとひと拭き: 五徳(ごとく)がないため、調理後に布巾で拭くだけで掃除が完了します。
- 上昇気流の抑制: ガスは燃焼時に強い上昇気流が発生し、油を含んだ煙が部屋中に舞い上がります。IHは気流が穏やかなため、換気扇や周囲の壁がベタつきにくく、キッチン全体の清潔感が長持ちします。
理由は主に「燃焼ガスの有無」と「熱の逃げ方」の2点です。
①そもそも「ガス」は空気を動かしすぎる
ガスの火は、燃料を燃やすことで大量の高温の排出ガス(二酸化炭素や水蒸気)を発生させます。 熱い空気は軽いため、猛烈な勢いで上昇します。これが「強い上昇気流」です。
- 油を運んでしまう: 調理中に発生した細かい油の粒(オイルミスト)が、この強い上昇気流に乗って一気に天井や壁まで運ばれてしまいます。これが、ガスコンロ周辺の壁がベタつきやすい理由です。
②「IH」の上昇気流は「食材の湯気」だけ
一方のIHは、何かを「燃やす」わけではありません。磁力で鍋そのものを発熱させるだけです。
- 逃げる熱が少ない: 鍋の周囲の空気を無駄に温めないため、ガスのような「爆発的な空気の立ち上がり」が起こりません。
- 重い空気: IHで発生する上昇気流は、主に「食材から出る湯気」によるものです。これはガスの排出ガスに比べると温度が低く勢いも弱いため、油が遠くまで飛び散る前に、換気扇が効率よく吸い込みやすくなります。
つまり、どういうこと?
ガスは「熱い空気が部屋をかき回す」のに対し、IHは「鍋の上の空気だけが静かに動く」というイメージです。
この「気流の穏やかさ」があるからこそ、換気扇の吸い込み効率が上がり、結果としてキッチン全体のベタつきが抑えられるというわけです。
豆知識
ちなみに、一条工務店のような高気密住宅では、この「穏やかな気流」がさらに活きます。無駄な空気の乱れが少ない分、換気システム(ロスガードなど)が室内の空気をコントロールしやすくなり、調理後の匂い残りも短時間で解消されるんですよ。
3. 「夏場のキッチン」が快適な聖域に
ガス調理では、熱の約半分が鍋の周囲へ逃げ、キッチン全体の温度を跳ね上げます。
- 鍋だけを温める効率性: 磁力の力で鍋底そのものを発熱させるため、無駄な放熱がありません。夏場でも顔に熱気が当たることなく、涼しい顔で煮込み料理や揚げ物が楽しめます。
4. タイマー機能が「自由時間」を生む
全てのコンロに正確なタイマーが備わっているのは、IHの隠れた名機能です。
- 放置調理の安心感: 「15分煮込む」と設定すれば、その間はキッチンを離れて別の作業ができます。時間が来れば自動で消火されるため、うっかり焦がす心配もありません。この「自由時間」の積み重ねが、家事のストレスを劇的に減らします。
5. 住環境の質を下げない「燃焼ゼロ」
ガスは燃焼時に水蒸気と二酸化炭素(CO2)を排出しますが、IHは一切排出しません。
- 空気質を守る: 室内の空気が汚れず、湿気も溜まりにくいため、カビや結露の抑制にも繋がります。
まとめ:IHは「効率」と「精度」の武器
掃除が楽になるのは、あくまで副次的なメリット。 IHの本質は、「火力を数値で支配し、料理の精度を極限まで高めること」、そして「住環境を快適に保つこと」の両立にあります。
第2回では、この精密な道具を使いこなすための第一歩、「火力の正体と予熱のコツ」について深掘りしていきます。
コメント