「今日は少し苦すぎるな」「もう少しコクが欲しい」……。 コーヒーを淹れるたびに感じる微妙な味の変化。これを「体調のせい」や「偶然」で終わらせてはいけません。
科学的に美味しいコーヒーを淹れる最大のメリットは、「原因が数値でわかる」ことです。今回は、理想の味に辿り着くための「味の調整ロードマップ」を伝授します。
1. 味が「苦すぎる・渋い」ときの修正プラン
成分が出すぎている「過抽出」の状態です。以下のいずれか一つを試してください。
- 温度を下げる:
お湯の温度を2〜3℃下げてみましょう(例:90℃ → 87℃)。熱エネルギーを抑えることで、溶け出しにくい苦味成分をブロックします。 - 挽き目を粗くする:
粉の粒を大きくし、お湯との接触面積を減らします。 - 注ぐ時間を短くする:
抽出の後半に出る雑味を防ぐため、全体の時間を30秒ほど早めて切り上げます。
2. 味が「酸っぱい・薄い」ときの修正プラン
成分を引き出しきれていない「未抽出」の状態です。
- 温度を上げる:
2〜3℃上げて、豆の組織からしっかりと成分を叩き出します(例:85℃ → 88℃)。 - 挽き目を細かくする:
- 表面積を増やし、お湯が成分をキャッチしやすくします。
- 「蒸らし」を丁寧にする:
蒸らしの時間を少し伸ばすか、粉全体にしっかりお湯が行き渡っているか確認してください。
3. 「コク(ボディ)」を強化したいとき
- 比率(レシオ)を変える:
お湯の量を少し減らします(例:1:16 → 1:15)。 - 微粉を活用する:
あえて少し細かめに挽くことで、オイル分や不溶性成分がカップに落ち、口当たりがどっしりします。
4. 科学の結論:一度に変える「変数」は一つだけ
これが最も重要な鉄則です。 「温度」と「挽き目」を同時に変えてしまうと、どちらが味の変化に寄与したのかが分からなくなります。
- まずは「挽き目」を固定する。
- その日の豆の状態に合わせて「温度」で微調整する。
- それでもダメなら「挽き目」を一段階動かす。
このステップを繰り返すことで、あなたの頭の中に「この豆ならこの数値」という自分だけの黄金データバンクが構築されていきます。
5. コーヒーの「美味しさ」の先にあるもの
全4回を通して、コーヒーを科学的に分析してきました。 数値を管理し、論理的に淹れる。その目的は、ただ「正解」を出すことではありません。
再現性が高まることで、忙しい朝でも、大切な人に振る舞うときでも、「安定して高いパフォーマンスの1杯」が出せるようになります。それは、あなたの暮らしに確かな自信と、深い安らぎをもたらすはずです。
コメント